グルーガンの故障

グルーガンを知っていますか?
棒状のプラスチック樹脂を熱で溶かして貼り付ける接着剤的な用途に利用できる便利な物です。
一般的には透明で、直径7.5mm位で長さ10cm位の棒状に整形された樹脂、材質はポリプロピレン(PP)のようですが、それをハンダゴテの真ん中に穴が開いているような熱した先に押し込みながら溶かし、液状になった樹脂が先から押し出されます。
材質が柔らかい樹脂なので、硬い強度は期待できないのですが、欠けたり亀裂の入ったプラスチック製品の補修や、ちょっとした小さな物をまとめて貼り付けたり、電子部品の固定や絶縁にも利用できて便利に利用できるため、私は昔から使っていました。
持っていても頻繁に使うわけでもなく、時々しか出番がないのですが、私には有って当たり前のポジションを占めていました。それが使おうと準備するとあまり熱くならない、故障かなと思いながらもしばらくすると熱くなり、何とか使えたので気のせいかなと思っていました。
そんなこんなで、だましだまし使っていましたが、ついに熱いどころか暖かくも成らなくなり諦めました。買ったのがいつの頃だったのかの記憶もないし、当時の価格も高かったような記憶以外にはありません。メーカー名は名前をよく見る定番の高儀でした。
しばらくしてネットの情報で、100円ショップでも扱われていると知り、市内にある大きめなダイソーに行って探しました。期待して行ったのですが、その店が小さくて扱っていないのか販売が取りやめになったのか、隅々まで何度も見回しましたが見つかりませんでした。非常に期待していたのでとても残念でした。
使いたい、ではなく使わなければならない状況になっているので、仕方無くホームセンターに向いました。ホームセンターの一角には色々なグルーガン製品が置かれているのを知りました。価格は最低価格でも税込で1000円を越えています。高いのは数千円もするようです。
色々置かれていたので一つ一つをじっくり見て選ぶのが面倒になり、一番安いホビー用途の税込1008円の物を買って帰りました。結果は大失敗、グルーガンと言うくらいなので、拳銃のように持ち使用するのは当たり前だと思い込んでいたのですが、使う時点でやっと問題に気が付きました。
何と先端と握り部分は、拳銃のようにの字に少し角度を付けて曲がっているのですが、肝心の引金のような突起が無いのです。えっ! これってどう使うの… 一瞬何が起こったのかわからないまま固まりました。包装されていた厚紙の使い方の画を確認すると、自分の手で押し出せと書かれていました。
当然本体は熱くなり溶かす機能は有るのですが、片手で樹脂の棒を押しこむのが実に難しい。樹脂の後を直接押しても直ぐ溶けるわけではなくて硬いし、反応にはちょっとタイムラグがあって押す力加減と持続性に微妙な調整が必要なはずなのにできません。少し遅れて融け出てくる液状の樹脂は期待している以上の量となって吐き出されてきます。
これならハンダゴテで樹脂の棒を溶かして直接作業した方が上手にできるだろうと思いました。まさに『安物買いの銭失い』でした。これじゃ詐欺ですよ、何がホビー用途…??? 使い慣れた玄人ならそこそこ使いこなせるかもしれないけど、ホビーの素人には全く使いこなせないシロモノですよ。
溶け出た樹脂の量が調整できないので、出来上がった作業面はグチャグチャで汚い結果となり見苦しい状態です。使っていた壊れる前のグルーガンでの作業では、いつでももっと綺麗な結果になっていたので、買い直そうかと悩みました。
壊れてるのでどうせ捨てるし、また買い換えるならと考えて、両方を分解して作りを比べて見ました。ヒーター部分の形状は似ているような気もするし、細かく見ると寸法に差があるようにも見えます。ヒーター部分を入れ替えて組込めそうかと検討しました。形状にはやはりちょっと無理があるようですが、でも無理を承知で組込みました。
入れ替えたヒーター部分の太さが少しだけ太いようで、挟み込んでネジ止めした本体が、少し隙間が出来て開いたままになりましたが問題はなさそうです。ヒーター部分の形状の差異で、樹脂を押し出す引金状の可動範囲が狭くなり、一度で押し出す樹脂量が少なくなったようですが、でも押し出すことはできているようで、逆に微調整ができるようになったと言えます。
ただのグルーガンで実に楽しく遊ばせて頂きました。